「動かない鳥」として動物園の人気者・ハシビロコウ。 実は、飼育下での繁殖が「超・超・超」がつくほど難しいって知っていましたか?現在、日本の動物園でも繁殖に向けて様々な工夫がされていますが、まだヒナは誕生していません。
それもそのはず。なんと世界中の動物園を見渡しても、ハシビロコウの繁殖に成功した施設は過去にたった2つ(2例)しかないんです!
今回は、その奇跡とも言える「世界の繁殖成功例」がどこで、いつ、どんな風に起きたのか。そして生まれた子どもたちは今どうしているのかを詳しく解説します!
1例目:世界初!ベルギーの「ペアリ・ダイザ動物園」
世界で初めてハシビロコウの繁殖に成功したのは、ヨーロッパ・ベルギーにある動物園でした。
- どこで: ペアリ・ダイザ(Pairi Daiza / 旧名:パラディジオ公園)
- いつ: 2008年7月
- どんな感じで: 世界初の快挙は「人工孵化・人工育雛(人の手で育てること)」によって達成されました。2羽のヒナが無事に孵化し、飼育員さんたちの懸命なサポートによって立派なハシビロコウへと成長しました。
生まれた子どもは今どこに?
この時生まれた2羽は「Abou(アブ)」と「Marqoub(マルクブ)」と名付けられました。 アブ(Abou)は長年ベルギーで暮らしていましたが、2022年6月にイギリスの「エクスムーア動物園(Exmoor Zoo)」へお引越ししています。今もヨーロッパの動物園で元気に暮らしているんですよ。様子はこちらのYoutube動画で紹介されています:
2例目:北米初!親鳥が育て上げたアメリカの動物園
ベルギーの快挙から1年後、今度はアメリカで奇跡が起きます。こちらはなんと「親鳥が自らヒナを育てる(自然育雛)」という、さらに珍しいケースでした!
- どこで: タンパ・ローリー・パーク動物園(現:ZooTampa)フロリダ州
- いつ: 2009年12月25日(クリスマス!)
- どんな感じで: 動物園がハシビロコウのペアを巨大な屋外フライトケージ(湖や湿地を再現した自然に近い環境)に移したところ、自ら草を集めて巣作りをスタート!一度目の卵は割れてしまいましたが、見事2度目の産卵でヒナが誕生しました。 クリスマスの朝にヒナが卵の殻を割り始め(嘴打ち)、翌26日に完全に孵化するというドラマチックな展開でした。親鳥が口移しで魚を与えたり、暑い日には卵やヒナに水をかけて冷ます(野生下で見られる行動)様子もしっかり確認された大成功例です。
なぜハシビロコウの繁殖はこんなに難しいの?
「なんで世界で2例しかないの?」と思いますよね。それにはハシビロコウの生態が深く関わっています。
- もともと「超・単独行動」が好き 野生のハシビロコウは縄張り意識が非常に強く、他の鳥が近づくと怒って追い払ってしまいます。オスとメスを同じエリアに入れて「ペアリング」させること自体が至難の業なんです。
- 特殊な環境が必要 野生では、パピルスなどの背の高い草が生い茂る広大な湿地帯の奥深くで巣作りをします。これを動物園の中で再現するのはとてもハードルが高いのです。

おわりに
世界でたった2例しかないハシビロコウの繁殖。 現在、日本の「神戸どうぶつ王国」などでも、現地の雨季を人工の雨で再現したり、広大な湿地エリア(Bigbill)を作ったりと、アジア初の繁殖成功を目指して奮闘中です。
いつか日本でも、ふわふわのグレーの羽に包まれた「小さなハシビロコウのヒナ」が見られる日が来るかもしれませんね!各園での繁殖の取り組みや、ハシビロコウの生態についてはこちらの本がまとまっているので、ぜひご覧ください!
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- ハシビロコウの繁殖と、国内での繁殖の取り組みについて👉ハシビロコウの雛ってどんなの?衝撃の子育てと、日本で「奇跡」を待つ飼育員たちの挑戦
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