動物園で大人気のハシビロコウ。実はアフリカのある地域では、単なる珍しい鳥ではなく「国や地域の象徴」として旗や紋章に描かれているのをご存知ですか?
今回は、世界最大のハシビロコウ生息地でありながら「誰も行くことができない」南スーダンの事情と、ハシビロコウが描かれた珍しい旗について解説します。
独立前の南スーダンを支えた「ハシビロコウの紋章」
2011年にスーダンから独立を果たした「南スーダン共和国」。実は独立前の「自治政府」時代(2005年〜2011年)に広く使われていた紋章には、ハシビロコウが描かれていました。

盾の左側をハシビロコウ、右側をサイが力強く支えています。足元に描かれているのはナイル川の豊かな水と農作物です。ハシビロコウは、南スーダンに広がる世界最大級の湿地「スッド(Sudd)」を代表する鳥。過酷な内戦を経て独立を目指す人々にとって、ハシビロコウは「自分たちの豊かな国土とアイデンティティ」を象徴する、非常に誇り高い存在だったのです。
(※現在の南スーダンの国章は、「サンショクウミワシ」に変更されています。)
現在もハシビロコウが「州旗」!南スーダン・レイク州
国章からは姿を消してしまいましたが、現在でもハシビロコウをシンボルとして掲げている場所があります。それが、南スーダンの中央部に位置する「レイク州(Lakes State)」です。

なんと、イラストではなく「湿地に佇むハシビロコウの実際の写真」が旗の中央にデザインされています。水色の背景は、州内に広がる豊かな水系(レイク=湖)を表しています。
レイク州ってどんな場所?
名前の通り、ナイル川水系の広大な湿地や湖沼が広がるエリアです。ハシビロコウは、肺魚(ハイギョ)などを捕食するため、こうした葦(アシ)が茂る浅い湿地帯を最も好みます。レイク州の人々にとって、ハシビロコウは「地元の豊かな水と生態系の守り神」のような、身近で特別な存在であることがこの旗から伝わってきますね。
世界最大の生息地「スッド湿原」。でも、私たちは行けない?
レイク州など南スーダンの中央部には「スッド(Sudd)」と呼ばれる世界最大級の湿原が広がっています。 実は、世界のハシビロコウの総生息数(約5,000〜8,000羽)のうち、半数以上がこの南スーダンのスッド湿原に生息していると言われています。つまり、南スーダンはダントツの世界No.1ハシビロコウ大国なのです。
しかし、残念な現実があります。 南スーダンは長年の内戦や現在も続く深刻な情勢不安のため、日本政府からも最高レベルの危険情報(退避勧告)が出されています。そのため、観光客や鳥類ファンが「ハシビロコウに会いに南スーダンへ行くことは、実質的に不可能」なのです。 彼らにとっての最大の楽園は、皮肉にも人間が立ち入れない危険地帯の中にあります。
幻ではない「野生のハシビロコウ」に会う方法
南スーダンは彼らにとって世界最大の楽園ですが、私たちが会いに行くことはできません。
しかし、「じゃあ一生会えないの?」と諦める必要はありません。ハシビロコウの魅力に触れる方法は、大きく分けて2つあります。
① 【究極の体験】隣国ウガンダで「野生の姿」に圧倒される
南スーダンの南に隣接するウガンダであれば、比較的安全に野生の個体を観察できます。実は私自身、実際にウガンダの巨大な湿原まで足を運び、野生のハシビロコウに会ってきました。日本の動物園では絶対に見られない「本場のリアルな生態」は、こちらの記事でたっぷりレポートしています。

② 【身近な推し活】日本の動物園で「お気に入りの子」を見つける
「いきなりアフリカは無理!」という方は、まずは日本の動物園へ。実は日本は、世界でも有数の「ハシビロコウ飼育大国」です。現在、全国の動物園で個性豊かなハシビロコウたちが暮らしています。休日にふらっと会いに行ける、国内の動物園リストはこちらにまとめています。

💡 【知的好奇心を刺激されたお子様へ】今回の記事で世界の国旗や地理に興味を持ったら、ぜひご家庭で地球儀や国旗図鑑を広げて「南スーダン」の場所を探してみてくださいね。
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