今回は、最近読み返して改めて「やっぱり最高だな…」と感じた、伊坂幸太郎さんの小説『クジラアタマの王様』についてお話しします。
物語は、主人公が自宅で「動かない鳥・ハシビロコウ」のテレビ番組を観ている、何気ない日常のシーンから始まります。そこでの描写がこちら。
「確かに革靴みたいな口だ。しかも、でかい。頭の大半が嘴じゃないか。」
―『クジラアタマの王様』本文5行目より引用
冒頭わずか5行目でこの的確すぎる表現!ハシビロコウ好きとしては、この数行を読んだだけで一気に心を掴まれてしまいました。
今回は、純粋な伊坂作品としての圧倒的な面白さと、ハシビロコウファンならではのマニアックな視点が交差する、この本の魅力をご案内します。
川口澄子さんの挿絵で躍動する「王様」に大興奮!
この小説の最大の魅力であり、他の伊坂作品と大きく異なるのが、「現実世界は活字(文章)」、そして「登場人物たちが共有する夢の世界は文章だけでなくコミック(漫画)」でも描かれているという構成です。
夢の世界を担当されているのが、イラストレーターの川口澄子さん。 そのセリフのない緻密で美しいタッチの漫画の中に、我らがハシビロコウが度々姿を現します。
夢の中に登場する動かない鳥「ハシビロコウ」。その不思議な存在感が実は物語の重要な鍵を握っており、それが最終的に「見事なタイトルの伏線回収」へと繋がっていく流れは本当に鮮やかです!ビジュアルとしてもハシビロコウのかっこいい佇まいを堪能できる、ファンなら絶対に手元に置いておきたい特別な一冊です。
まるでコロナ禍を予言!?リアルな描写に鳥肌
ストーリーの舞台となる現実世界では、製菓会社のクレーム対応に追われる主人公の日常と共に、「未知のウイルス(パンデミック)」の脅威が描かれます。
作中では、感染した人を非難する風潮や、マスクをする人々など、私たちが近年経験したような光景が生々しく綴られています。驚くべきは、この本が刊行されたのが2019年の夏だということ。「まるでその後にやってくるコロナ禍を予言していたみたいだ…」と、読んでいて鳥肌が立ちました。
伊坂マジック炸裂!3人が交差する極上のカタルシス

そして、物語を引っ張るのは「平凡な会社員」「若手政治家」「人気アイドル」という、一見まったく接点のない3人です。
彼らがどう関わってくるのか? ばら撒かれた些細な違和感や謎が、終盤に向けて一気に繋がっていく展開は圧巻の一言。伊坂幸太郎さん特有の、パズルのピースがピタッとハマるようなカタルシス(爽快感)は本作でも大爆発しています。
1回目を読み終えた瞬間に「あ、あのシーンってそういうことだったの!?」と気づき、「今すぐ2回目を読み返したい!」という衝動に駆られること間違いなしです。
読めば読むほど深みにハマる伊坂マジック。未読の方はぜひ、この不思議な世界観を体験してみてください!
\単行本・文庫のほかに、すぐに読めるKindle版も選べます/
夢の中では超アグレッシブ!?実は現実のハシビロコウも…
ここからは、少しハシビロコウマニアとしての視点でクスッとしたポイントを。
作中の夢の世界では、ハシビロコウが主人公に対してかなりアグレッシブに攻撃を仕掛けてくるシーンがあります。世間一般の「じっと動かない鳥」というイメージを持っている方が読むと、「これは小説ならではのフィクションだな」と思うかもしれません。
……が、実はこれ、あながち嘘ではないんですよね(笑)。
現実のハシビロコウも、ひとたび自分の縄張りに侵入されたりスイッチが入ったりすると、非常に気性が荒く武闘派な一面を見せます。あの巨大なくちばしで頭突きのように激しく相手を突き、野生下では致命傷になるほどの争いになることも。
小説の夢の中で見せる活発で力強い動きも、実は彼らの内に秘めたリアルな生態を上手に捉えているな、とニヤリとしてしまいました。
世界で唯一ハシビロコウに触れる動物園の紹介
ハシビロコウは見慣れない相手を攻撃する事があるので、ネットやアクリルなどで仕切られた展示、あるいはハシビロコウの方が来場者から距離を取れるように立ち入り可能区域が制限された展示の形式をとるのが一般的です。ただ、ハシビロコウの生息地であるウガンダには、事前予約する事で、飼育ケージに入る事ができる特別な動物園があります!管理人が訪れた記録はこちらをご覧ください:

あの「革靴みたいな巨大なくちばし」の秘密
物語の冒頭で「革靴みたいな口」と形容されていた、あの巨大なくちばし。 獲物を確実に捕らえるための強力な武器であることはもちろんですが、実は過酷な環境を生き抜くための「体温調節」など、驚くべき機能が隠されているのをご存知でしょうか?
また、動物園をじっくり観察してみると、実は一羽一羽くちばしの形や模様、骨格が全然違っていて、それぞれに個性が詰まっているのも見どころです。小説を読んであの大きなくちばしの魅力にロックオンされてしまった方は、ぜひこちらのディープな解説記事もあわせて覗いてみてください!

まとめ:小説も現実も、ハシビロコウから目が離せない!
今回は、伊坂幸太郎さんの『クジラアタマの王様』について、純粋な小説としての魅力と、ハシビロコウファンならではの視点を交えて感想をお届けしました。
「平凡な3人の交差」や「見事な伏線回収」という伊坂マジックの面白さに加え、コロナ禍を予言したかのようなリアルな設定。そして何より、コミックパートで大活躍する「王様」の雄姿は、私たちハシビロコウ好きにとってたまらない一冊です。
小説の世界で大立ち回りを演じるハシビロコウも最高ですが、現実の世界でどっしりと構える彼らもまた、知れば知るほど奥深い魅力に溢れています。本を読んでハシビロコウに心惹かれた方は、ぜひ動物園に足を運んで、生身の彼らの迫力を体感してみてくださいね。
『となりのハシビロコウ』でも、引き続き彼らの不思議な生態や魅力をお伝えしていきます。
ハシビロコウってそもそもどんな鳥?
小説の中で、圧倒的な存在感を放っていたハシビロコウ。
「実際の野生ではどんな暮らしをしているの?」 「どうして普段はあんなに動かないの?」
と、彼らのリアルな姿やギャップに興味が湧いてきた方は、ぜひこちらの基本生態のまとめ記事もチェックしてみてくださいね。知れば知るほど、その不思議な魅力の「沼」から抜け出せなくなるはずです!


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