ハシビロコウのヒナ(赤ちゃん)はどんな姿?育つのは1羽だけの理由と親鳥の子育て

ハシビロコウのヒナ(赤ちゃん)は、全身がグレーのふわふわの産毛に包まれた、ぬいぐるみのような姿をしています。けれど、親鳥が産む卵のうち、大人まで育つのはたった1羽だけ。

この記事では、動画でヒナの姿を紹介しながら、育つのが1羽だけの理由、水を運んでヒナを冷やす親鳥の子育て、そして日本の動物園でまだヒナが生まれていない理由をまとめます。

1. 産毛の雛と、残酷な「命の選択」

生まれたばかりのヒナは、全身をグレーのふわふわな産毛に包まれた、まるでぬいぐるみのような姿です。以下の動画の1:17あたりで、その様子を見ることができます。

しかし、その愛くるしさとは裏腹に、ハシビロコウの子育てには「残酷な掟」が存在します。

通常、ハシビロコウは1〜3個(多くは2個)の卵を産みますが、育つのはたった一羽。強い雛が弱い雛を攻撃し、親鳥はあえてそれに介入せず、一羽だけを確実に育てる道を選びます。広大な湿地で生き抜くための、太古から続く「種の生存戦略」なのです。

ヒナが生まれる前の「卵」について
ハシビロコウの卵は長さ8〜9cmほどの白っぽいチョーク色で、オスとメスが交代で約30日温めます。卵の大きさや数、乾季に産む理由、千葉市動物公園のしずかの産卵事例は、こちらの記事で詳しく解説しています。

2. 不器用なまでに献身的な「親の愛」

選ばれた一羽に対する親鳥の献身ぶりには、目を見張るものがあります。

アフリカの湿地の厳しい直射日光から雛を守るため、親鳥は嘴に水を含んで運び、雛の体に「打ち水」をして体温を下げます。また、捕らえたナマズを自分の嘴で丁寧に噛み砕き、雛が飲み込みやすいようにして与えるのです。

あの無愛想に見える嘴が、この時ばかりは、世界で一番優しいピンセットのように見えてきます。

(さらに気になる方は、NHKの「ダーウィンが来た! 『強く優しい!巨大怪鳥ハシビロコウ』」もご確認ください)

3. 動物園でのヒナ誕生は世界でわずか2例

野生では毎年ヒナが育っていますが、動物園でヒナが生まれ、育った例は世界でもベルギーとアメリカの2例だけです。下は、そのときに撮影された貴重なヒナの写真です。2つの成功例と、繁殖がこれほど難しい理由は、繁殖の総合記事にまとめています。

【2026年8月 最新アップデート!】
この記事の執筆後、バングウェウル湿地の救出プロジェクトから、素晴らしいニュースが届きました! 動物園での飼育下繁殖とは別の話ですが、なんと、保護された5つの卵が人工孵化に成功し、元気なヒナが誕生しました。野生の巣では育たない「2つ目の卵」を保護して孵化させ、野生に返すための保全の取り組みで、動物園のペアから生まれる飼育下繁殖とは別の、もうひとつの希望です。 すくすくと育つヒナたちの最新の様子や、現地スタッフの心温まるエピソードをニュース記事としてまとめました。ぜひあわせてご覧ください!

▼最新ニュースはこちら!

日本国内での繁殖の挑戦

日本国内でも、飼育員さんたちの熱い挑戦が続いています。

  • 神戸どうぶつ王国: 国内で最も繁殖に意欲的で、環境作りや個体のペアリングに注力する「聖地」
  • のいち動物公園: ささとカシシのペアリングを目指して、距離感を調整しながら飼育をされています

また、千葉市動物公園の「しずか」は、国内で唯一産卵が確認されたメスです(ペアリングが成功していないため無精卵)。詳しくは卵の記事で紹介しています。

結び:いつか日本で生まれる「奇跡」を願って

世界中を探しても、これほどまでに繁殖が難しく、一羽の誕生が待ち望まれている鳥は他にいないかもしれません。

今、私たちが動物園で会えている個体たちは、そんな過酷な野生を勝ち抜き、あるいは奇跡的な縁で日本へやってきた、特別な存在です。

次にハシビロコウに会うときは、ぜひ心の中で「今日も元気でいてくれてありがとう」と声をかけてみてください。そして、いつか日本でふわふわの雛が見られるその日まで、彼らの「推し活」を全力で楽しんでいきましょう!

ハシビロコウの奥深い魅力を知りたい方はこちらもご覧ください:

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ハシビロコウを追い続ける、一児のパパ。出張や家族旅行の合間に各地の動物園を巡るのがマイルール。 2025年には息子を連れてウガンダへ野生観察に行きました。 イベント情報から海外情報まで、幅広いハシビロコウについての情報を発信します。

コメント

コメントする

CAPTCHA