2026年4月27日にブログを立ち上げました。ハシビロコウに関する情報発信をしていきますので、よろしくお願いします!

【野生のハシビロコウの今】生息数は?空からの大調査でわかった絶滅の危機と私たちができること

マバンバ湿地のハシビロコウ

こんにちは。日本の動物園でハシビロコウを追いかけつつ、昨年はとうとうアフリカのウガンダまで「野生のハシビロコウ」に会いに行ってしまった当サイト管理人です。

動物園では「動かない鳥」として私たちを癒やしてくれる彼らですが、野生のハシビロコウは今、どこにどれくらい生息しているのでしょうか? 実は、現在判明している世界の生息数は、成鳥でわずか3,300〜5,300羽程度。絶滅危惧種(絶滅危惧II類)に指定されています。

今回は、研究者たちの驚きの調査方法と、明らかになった野生の厳しい現実について、実際の学術論文のデータをもとにわかりやすく解説します。夏休みの自由研究にも、大人の知的好奇心を満たすのにもぴったりな内容です。

目次

ハシビロコウの故郷はアフリカの「広大な湿地帯」

私が出向いたウガンダをはじめ、ハシビロコウはアフリカ東部から中央部にかけての限られた国にしか生息していません。

1978年に発表された初期の生態調査(Guillet, 1978)によると、最も多くのハシビロコウが生息しているのは南スーダンの「スッド湿原」だとされています。ここは見渡す限りの草と水が広がる巨大な湿地帯。ハシビロコウの大好物である古代魚「ハイギョ」を捕まえるのにぴったりの場所です。 私がウガンダのマカンバ湿地を訪れたときも、果てしなく続くパピルスの葦原の中に、彼らは王者のように静かに佇んでいました。

空飛ぶ大調査!?生息地で判明した「嬉しい大発見」

広大な湿地に隠れるように生きるハシビロコウを、研究者たちはどうやって数えているのでしょうか?実は、「空から数える」というダイナミックな調査が行われています。

2010年、ザンビアのバングウェル湿地で行われた調査(Roxburgh & Buchanan, 2010)では、「マイクロライトプレーン」というエンジン付きの超軽量飛行機で上空を飛び、衛星画像と照らし合わせる最先端の分析が行われました。

この調査で、驚くべき事実が2つ判明しました。

  • 彼らが住める環境は意外と少ない: 広大な湿地帯のうち、ハシビロコウが獲物を捕り、安心して巣を作れる「適切な環境」は、全体のわずか37%しかありませんでした。これは、ハシビロコウはパピルスが密集しすぎている場所では狩りができず、適度に水面が開けている場所(水路や湿地の縁)を好むためです。
  • 推測を大きく上回る個体数: 推定個体数が1,296羽と算出されました。これは、過去の推測値よりなんと5.5倍も多い数字!広大で人が入れない湿地ゆえに、長年「過小評価」されていたハシビロコウたちが次々と見つかった、保全において非常に嬉しいニュースでした

数千羽が数百羽に…?明らかになった「過大評価」の現実

しかし一方で、空からの精密な調査が進むにつれ、別の地域では胸が締め付けられるような厳しい現実も見えてきました。

タンザニアのマラガラシ湿地は、かつて「南スーダンに次ぐ、ハシビロコウの第二の巨大生息地」だと考えられていました。ところが、2013年に発表された研究(John et al., 2013)で空撮調査や過去の文献を徹底的に見直した結果、かつて数千羽規模と推測されていた個体数が、実はわずか100羽から、多くても数百羽程度しかいない可能性が高いことが判明したのです。

つまり、「たくさんいるはずだ」という希望的観測による大幅な過大評価だったという事実が突きつけられました。 農業用地への開発や野焼きによって、ただでさえ少ない「適切な生息環境」がさらに奪われています。また、違法な生態取引のための捕獲も大きな脅威であり、ペット・展示用の捕獲も問題となっています。研究者たちは「彼らを守るための計画を、今すぐ見直さなければならない」と強い警鐘を鳴らしています。

日本の動物園で会える奇跡と「推し活」が救う未来

ウガンダの大自然の中で生き抜く彼らの神々しさに圧倒されると同時に、「この景色がいつまでも残ってほしい」と私は強く願いました。 私たちが日本の動物園で彼らに会えるのは、本当に奇跡的なことなのです。

では、動物園の個体を愛でる「推し活」のエネルギーを、遠くアフリカの故郷を守る力に変えるにはどうすればいいでしょうか?具体的なアクションを3つご紹介します。

現地の保全団体(NGO)を支援する

アフリカ現地では、元密猟者を「保全レンジャー」として雇用し、ハシビロコウを守る仕事を生み出すプロジェクトが進んでいます。現地のNGOや国際的な環境団体(WWFなど)への寄付は、彼らの命を直接守ることに繋がります。

「保全につながるグッズ」を購入する

動物園の売店などで「売上の一部が寄付される」グッズを見つけたら、ぜひ手に取ってみてください。日常の「推し活」が、そのまま野生の仲間への支援になります。

いつか「エコツーリズム」に参加する(究極の推し活!)

私のように、現地に赴いて「ハシビロコウを見るためにガイドを雇い、国立公園にお金を落とす」こと。これが地元の人々に「ハシビロコウは生きているだけで価値がある」と気づいてもらう最強の手段です。

最後に

まずは彼らの「今」を知り、この記事を周りにシェアすることから始めてみませんか?動物園でハシビロコウに会ったときは、はるか遠くアフリカで力強く生きる仲間たちにも思いを馳せてみてくださいね。

【参考文献・引用元】

  • Guillet, A. (1978). Distribution and conservation status of the Shoebill (Balaeniceps rex) in the southern Sudan. Biological Conservation.
  • Roxburgh, L., & Buchanan, G. M. (2010). Estimating the population size of the Shoebill (Balaeniceps rex) in the Bangweulu Swamps, Zambia. Ostrich.
  • John, J., et al. (2013). Status of Shoebill Balaeniceps rex in the Malagarasi wetlands, Tanzania. Bird Conservation International.
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この記事を書いた人

ハシビロコウを追い続ける、外資系企業に勤める一児のパパ。出張や家族旅行の合間に各地の動物園を巡るのがマイルール。 2025年には息子を連れてウガンダへ野生観察に行きました。 イベント情報から海外情報まで、幅広いハシビロコウについての情報を発信します。

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