日本国内のハシビロコウについては「日本のハシビロコウに会える動物園一覧」でご紹介していますが、「いつかは本場アフリカや、海外の動物園でも推しに会いたい!」という方も多いのではないでしょうか。
実は、世界的に見てもハシビロコウを飼育している動物園は非常に少なく、世界全体の飼育数は約40羽程度と言われています。そのうち15羽が日本にいることを考えると、日本がいかに「ハシビロコウ大国」であるかが分かりますね。
この記事では、国際的な動物情報データベースのSpecies360や、各国の血統登録簿(Studbook)の情報を基に、現在海外でハシビロコウに会える主な動物園と、そこで暮らす個体をご紹介します。
アフリカエリア:ハシビロコウの故郷
ウガンダ野生生物保全教育センター(UWEC)/ウガンダ
- 飼育数: 4羽(野生からの保護個体: 2025年8月時点の情報)
- 名前が判明している個体:
- スシ(Sushi): おそらく世界で最も有名な野生保護個体です。密猟者から救出されてUWECで暮らしており、お辞儀をしてくれることで世界中のファンから愛されています。なお、Sushiは一匹ではなく、第XX代、と受け継いでいく名前らしい。
- 特徴: 展示施設というだけでなく、アフリカ地域(PAAZA)のハシビロコウ保全と血統管理の要となっている重要拠点です。追加料金で飼育体験プログラムに参加できるのも魅力です。


▼実際に私がウガンダを訪れた時の記録はこちらをご覧ください!
▼野生のハシビロコウにも会いたい!と思った方へ
野生のハシビロコウが合えるスポットはアフリカにいくつかあります。各スポットの特徴や、アクセス方法などはこちらの記事をご覧ください!

▼アフリカへ行きたい!と思った方へ
アフリカ旅行を自分で手配するのはかなりチャレンジが多いので、ドライバーさんや日本語が話せるガイドさんなど、フリーツアーを個別コーディネートしてくれる旅行代理店さんへ依頼するのがオススメです!我が家は、ケニアのサファリと合わせた親子2人旅行を、Ooohさんにお願いしました!Sushiに触れる特別プログラムについても、しっかり手配していただきました。ご興味がある方は、ぜひこちらからプラン作成・見積もりを依頼してみてください!
ヨーロッパエリア:世界初の繁殖成功の地
ペリダイザ動物園(Pairi Daiza)/ベルギー
- 飼育数: 約3〜4羽
- 名前が判明している個体:
- マルクーブ(Marqoub): 2008年にこの園で生まれ育った歴史的な個体。
- 特徴: 2008年に世界で初めてハシビロコウの自然孵化・人工育雛に成功した、ヨーロッパにおける保全のハブ(EEP)です。世界中のハシビロコウファンにとっての「聖地」の一つと言えます。
エクスムーア動物園(Exmoor Zoo)/イギリス
- 飼育数: 1羽
- 名前が判明している個体:
- アブー(Abou / ♀): 2008年にペリダイザ動物園で生まれたメス。2022年にイギリスのこの動物園へお引っ越しをしました。
こちらのYoutubeに特集動画が上がっています!
プラハ動物園(Prague Zoo)/チェコ
- 飼育数: 2羽、それぞれが個室で育てられているそうです
- クランゴ (Kurango / ♂):活動的で、お客さんの方を向いてくれたりするそうです!
- オコモ (Okomo / ♀):あまりお客さんには近づかないそう。
- 特徴: アフリカの湿地帯を見事に再現した展示エリアがあり、非常に自然に近い環境で観察できることでヨーロッパのファンから高い評価を得ています。入口から遠いので、あまり混んでないとの事です。
ヴェルトフォーゲルパーク・ヴァルスローデ(Weltvogelpark Walsrode)/ドイツ
- 飼育数: 2羽
- 特徴: 世界最大の鳥類専用動物園。過去には繁殖実績もある、鳥類飼育のプロフェッショナルが集まる施設です。
北米エリア:ジャングルのような巨大展示
ダラス世界水族館(Dallas World Aquarium)/アメリカ・テキサス州
- 飼育数: 2羽(♂1羽 + ♀1羽: 2026年5月情報)
- 特徴: 水族館という名前ですが、「ボルネオ展示」という巨大な熱帯雨林の温室エリアがあり、一番入口に近い箇所にハシビロコウがいます。柵がありますが、よくすぐ近くまで来てくれるそうです。放し飼いに近い状態で展示されているので、ダイナミックな環境での撮影が可能です!
ズータンパ・アット・ローリー・パーク(ZooTampa at Lowry Park)/アメリカ・フロリダ州
- 飼育数: 約2〜3羽
- 特徴: 北米(AZA)の血統管理計画において非常に重要な役割を担っており、2009年には北米で初めて繁殖に成功した歴史ある動物園です。
ロシア: 最も新しいハシビロコウの動物園
ウクライナ情勢のために渡航が難しい状況が続きますが、2024年から新たにモスクワ動物園にもハシビロコウが展示されています。ハシビロコウファンとして、直接会えるようになる日がくる事を願っています。
モスクワ動物園(Moscow Zoo) /ロシア
- 飼育数: 2羽(オス・メスのペア:2024年6月末からの展示情報)
- 名前が判明している個体:
- 名称未公表(若いペア):ロシアで初めて飼育されることになったハシビロコウのペアです。現時点ではまだ名前が付けられていない(あるいは公表されていない)ミステリアスな存在です。
- 特徴: ロシアで初めてハシビロコウを飼育・展示している注目の動物園です。将来の繁殖を見据え、約350平方メートルもの巨大な専用獣舎が新設されました。極寒の冬を乗り越えるために完全自動で温度・湿度が管理される空調設備を備え、ハイギョの代わりとして活きたコイやマスを与えられているなど、モスクワならではのVIPな飼育環境が最大の特徴です。

(画像引用元: mos.ruより”Moscow Zoo gets a shoebill aviary”)

アジアエリア(日本以外)
バード・パラダイス(Bird Paradise)/シンガポール
- 飼育数: 1〜2羽
- Zaneという個体がおり、Instagramをやっています
- 特徴: 旧ジュロン・バードパークが移転・リニューアルしたアジア屈指の鳥類園。日本から直行便で行けるため、最もハードルの低い「海外ハシビロコウ遠征」の目的地かもしれません。

【非公開】 ヴァンタラ(Vantara)/インド
- 飼育数: 1羽
- 特徴: 一般公開はされていない、世界最大級の動物保護・リハビリ施設です。胃の中に3つの釣り針を飲み込み拒食状態だった個体が保護されましたが、獣医チームが「綿を強制給餌して釣り針を絡めとり、一緒に排泄させる」という機転を利かせた治療を行い、奇跡的に一命を取り留めました。現在は広大な環境の中、乾燥したインドでも本来の生息地(アフリカの湿地帯)を感じられるよう「人工の雨」を浴びながら元気に暮らしています。

まとめ:海外のハシビロコウ事情とこれからの課題
かつてはアメリカのサンディエゴ動物園サファリパークやスイスのチューリッヒ動物園などでも見られましたが、高齢化や繁殖の難しさから、現在は展示を終了している園も少なくありません。
「過去にハシビロコウがいた動物園」として忘れてはならないのが、ドイツのベルリン動物園です。
実は第二次世界大戦中、戦火を逃れるために飼育員の自宅アパートの「浴室」で保護されていたという、信じられないような数奇な運命をたどったハシビロコウがいました。極限状態の中で動物の命を守り抜いた飼育員の執念と、歴史に刻まれた一枚の不思議な写真の裏側については、こちらの特別コラムで詳しくまとめています。
世界の動物園の歴史に興味がある方は、ぜひこちらも合わせて読んでみてくださいね!

私たちが海外の動物園へ足を運んだり、現地の保全活動に関心を持ったりすることは、この魅力的な「動かない鳥」の未来を守ることにも繋がります。国内の動物園(那須どうぶつ王国などの素晴らしい展示環境)との違いを比較してみるのも面白いですね。
あわせて読みたい:国内のハシビロコウ完全ガイド
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